印象に残っている出張買取
こんにちは。
はなひ堂新井です。
たまに出張買取の詳細についてこちらで書かせていただくこともありますが、買取は個人情報を扱うデリケートな業務ということもあり、できるだけ控えたいと思っています。
とはいえそれは私の業務の中で最もスリリングなものでもあり、出張買取を行う人としてのパーソナリティは完全にお客様に作って頂いた面もありますので、業務のことを書くのであれば避けることはできないのかもしれないとも思います。
直近で印象に残っているものといえば、昨年、県内のとある山奥へ出張買取に伺ったことです。
docomoのwifiはつながっていましたが、そういえばこういうところで繋がらないかもしれないことを考えてahamoにしていないことを久しぶりに思い出しました。大丈夫でしょうか。変更してもつながりますでしょうか。
かなりの冊数の数学の本がありました。
専門的な本が多く、一目で数学をお仕事にされている方の持ち物だとわかります。
ただ、こんな山奥に似つかわしくないことも確かです。
お売り頂いた方にお聞きしたところ、お売り頂いたのは持主の娘さんで、お父さんの持ち物だったとおっしゃいました。
お父さんは数学の先生でもなんでもなく、ただの会社員だったこと、50代半ばに突然、趣味だった数学の本と共に山奥にこもり、そのまま生涯を過ごしたこと。Amazonの配達は可能なエリアだったこと。
圧倒されるような数学の本と共に50代半ばで隠居する…。毎日出会うのはAmazonを配達するヤマトの方だけ。出張買取で出会うストーリーは衝撃的なものも多く、この話にも強く衝撃を受けました。
私にもその可能性はあるのかなと考えました。突然山にこもり、ドゥルーズの著作を読みながら、IAMロールとAWSの認証に関して好奇心の赴くままに調べまわる、あるいはChatGPTと言い合いをする…できるだろうか。
私の場合は、そのためには家族を犠牲にしなければいけないことは明らかで、幸か不幸か本人生でその過酷さを持ち合わせることは叶わなかったし(持っていたら古本屋なんかできない)、むしろ家族が世界から受ける暴力すべてを引き受けたいとも思っているのですが、私も引きこもり成分を多分にもっているので憧れる生活ではあります。
出張買取はとても好きな仕事で、どんな本に会えるのか楽しみでもあります。そしてこういった本を持つ人の異様さに出会いたいがために出張買取に伺っているようなところもあります。
全ての出張買取に伺うことはできないが、こういった出張買取には必ず伺わなければいけない。あるいは山奥に伺わなければいけない。または中央区のマンションかもしれない。
はなひ堂ブログ 2023年4月29日