ある自作ブックカバーの話
こんにちは。
はなひ堂新井です。
ブックカバーが付いている本をお売りいただくことがあります。
新刊書店で本を買うときに「ブックカバーはお付けしますか?」と聞かれるあのブックカバー(?)です。
査定のときに邪魔になるとはいえ、それほどの手間ではないことから、当店では特にブックカバーの有無は査定額に影響しません。
ブックカバーが付いているからといって査定額が下がることも、もちろん上がることもありません。
むしろ本のヤケやダメージを防ぐという意味では影の査定額アップの功労者というふうに思えないこともないので、私としてはブックカバーにはむしろ感謝しているくらいではあります(?)。
先日、昭和初期から20年代前半くらいの年代の本をお売り頂きました。
しかもその全ての本にブックカバーのようなものが付いていて、この時代から既にブックカバーがあったんだと感心していました。
ブックカバーの起源はよくわかりませんが、洋本はその構造からブックカバーをかけやすいです。
ですのでこれら昭和初期の本からわかることは、少なくともこの時代には書店さんが用意したものではなくとも、ヤケを防ぐ手段として自作のブックカバーを掛ける方もいたということです。
あるいはこの方が日本で初めてブックカバーをかけた最初の方か。
とにかくブックカバーを外さなければ査定はできません。
ですのでひたすら剥いでいきながら本を確認していきます。こんな本があるのかうんぬん。
剥いだブックカバーは段ボールに詰めていき、本を査定していくこと数十冊。そのあたりで何か異変に気付きます。
何かソワソワする感じがあり、その感じが段々と強くなってきます。
そしてさらに数冊剥いだあたりでその正体に気付きました。ブックカバーが自作のもので、その素材が当時のポスターであることに!
あわてて段ボールをひっくり返します。するとそれらはやはりブックカバー用に切り取られた戦中、戦後のポスターでした。
その当時のポスターであれば欲しい人がたくさんいて、残念なことに今査定している本よりも高額になるのは間違いありません。
とはいえブックカバーとして切り取られたものに価値はありません。
なんとかならないものかと思いを巡らせましたが何ともなりません。それはもはやポスターではなくブックカバーなのですから。
その後、査定をする気が全く起きず、呆然とブックカバーを眺めていたのでした。
はなひ堂ブログ 2019年4月23日