買取、販売は勉強の場ー スタッフY
こんにちは。
最近のあるできごとで、『人生、いくつになっても勉強だなぁ』としみじみと感じたスタッフYです。
お客様からお売りいただく書籍それぞれがどのような身元(という表現を本にもするのかは分かりませんが(^^;))であるか、この世の全ての書籍について把握するのは不可能だと思います。
ここでいう『本の身元』は、出版社、著者、初版年、刊行年、版、装丁等、「この書籍です!」と断言するための情報のことです。
例えば。店長に「この大漢和辞典出しておいて」とだけ言われた時、知識のない私には身元不明の本が積み上げられただけの状態ということになります。
さすがに出版社と著者はすぐに目に入るところに表記されているので、多少の情報はありますが。
では更に身元を特定するためにどうするのか。
知識のある人(弊店ならば店長と他スタッフ1名)に聞けば事足りるのでは? まさにその通り!!\(^o^)/
しかしそれでは仕事をしているとは到底言えませんので(この記事もここで終わってしまいますし)、自分で調べることになるのですが、その時に参考になるのはAmazonや日本の古本屋に出品されている他店様の情報です。
先達のお力を借りることができるのはありがたい限りですね。
まず、Amazonサイトで【大漢和辞典】とだけ打ち込んで検索すると、全13巻の商品がヒットします。
意外とあっさり見つかっ・・・・てない!
おかしい。目の前の書籍の山は15冊ある…。
検索された情報を確認すると、1-12巻と索引(13巻)のセット。『縮写版』の表記が。しかも画像を見ると函のデザインが違う。
さすがに別物と分かるので、【全15】の文字を加えて再検索。(全15巻か全15冊かで検索結果が違うと大変なので、巻or冊は入れません。)
ヒット!画像は裸本の状態ですが、手元の書籍もカバーを外すと同じデザインの表紙が確認できます。
そこでようやく、目の前の書籍が『大修館書店発行・諸橋轍次著・大漢和辞典:全13巻+語彙索引+補巻の全15冊』であるという身元が判明するのです。
出品している方々の商品の情報を読めば、各巻に月報は付属していたのかや、函、カバー、帯、正誤表の有無などもある程度判明します。
ここまで確認してはじめて、ネットへの出品登録が可能となります。
話が長くなりましたが、本題の『勉強になった話』について。
日本の古本屋への出品についても基本的には前述の身元確認を行ってからですが、しかし、どうしても身元不明で手がかりもない!そんな書籍も多々ございます。
そのような多くの書籍を救えるのが日本の古本屋の素晴らしいところなので、現在取り扱っている書店がなさそうなその本についても、様々検索しある程度の情報を得たところで、妥当であろうという価格をつけ出品いたしました。
すぐにご注文いただきました。同業の大先輩からです。
『初版ですか?』と、確認事項はその一点のみでしたが、断言できませんでした。
その本の奥付には初版発行の日付のみ記載されており、普段なら初版本である旨お返事をして購入いただけば完了ですが、紙質と記載の年代が合いません。
復刻版も存在している書籍でしたが、『復刻版』の文字もなく、装丁も異なり、私には何なのかよく分からない本(というより冊子に近い)でした。
すぐさま先方様に事情をご説明すると・・・。
お話しして1分と経たずに、「なるほど。それは『○○』という本の中の揃いのうちの一冊ですね」とすぐに身元を教えて下さいました。
その知識の豊富さが垣間見える会話で、私などはヒヨコ未満、まだまだ卵の状態なのだなぁと認識したのでした。
定期的に東京へ買い付けに行き他の古本屋さんと話す機会もある店長とは違い、勉強の場がほぼ無い私には非常に貴重な、勉強になった1分間でした。
ただただ感謝感動。Y書店様ありがとうございました!!
ちなみに店長曰く「お客様のほうがその書籍に詳しいこともざらにあるから、出張買取は勉強の場であることも多い」とのことです。
はなひ堂ブログ 2020年4月10日