本の扱い方は人それぞれ

こんにちは。
はなひ堂新井です。


毎日、人の持ち物だった本を扱っている身としては、本の扱い方には個人差があるという印象を持っています。


例えば書き込みは一切しないという人もいれば、線引きだけでなくゴリゴリと自分なりの注釈まで書き込んでいく人もいるし、栞のかわりにページの角を折る人もいます。


これらはあくまでも個人のポリシーや美的感覚の話で、私としては何の感想もなく、なんとも思いません。


買取の現場では、ただただ古本屋として書き込みの度合いによって、または状態が悪ければそれに従って査定額を減額していくというドライなスタンスで臨んでいます。そしてあまりにもひどい場合には高額商品でもお値段が付かない…そんな場合もあります。査定額は相場×状態(×主観)。パンチ力は体重×スピード×握力なのですから(?)。


本をどのように扱うか?ここにはモラルや美意識などの難しい問題はありながらも、少なくとも法律で何かが決まっているわけでもないのですから、自分なりの好きな形で、とはいえあまり過激でない程度で本と向き合えばいいのではないかと思っています。愛があれば書き込みなども枝葉にすぎない、のかもしれません。


本の読み手としての私自身は書き込みのある本やページの角に折れ目がある本は特に嫌いというわけではなく、中古で書き込みがあっても多少安ければそちらを買うくらいですが、この傾向はかつて査定にも影響している悪い癖でした。


その証拠に当社スタッフが査定する際に、書き込みや状態に関してかなり判定が厳しいと感じることがあり、これが特定のスタッフだけであれば問題はないのですが、ほぼ全てのスタッフの査定に関してそう感じていたので、私が間違っているとわかるまで大分時間がかかりました(^_^;)。


今ではそういったスタッフ間の主観の認識のズレに関しては当店でもかなり気を使っていて、それなりの擦り合わせの時間を作ってある程度共有できるようにしています。査定する人によって査定額が違うというのでは困りますので。


なぜ突然こんな話になったのかというと、今朝、娘が本のページ内にシールを貼ったということで妻に怒られていました。


シールを貼るタイプの本ではないからという理由ですが、貼った本は「おしりたんてい」。私は妻に対して抗議しましたが、妻の言わんとすることもわからないことはなく、娘の気持ちもわからないことはありません。両人がそれぞれ本への愛を表現する形が違っていただけに過ぎません。


私自身はかつてはハードな書き込みタイプだったのですが、今は付箋を貼っていくタイプ。いずれにせよ古本屋失格かもしれませんが(^_^;)、そう考えると付箋もシールも似たようなもので、どちらかといえば娘寄りといえるかもしれません。


本が好きで始めた商売ですが、今は「Amazonで新品なしの中古はプレミア、kindleは定価」というような場合には容赦なくkindleをクリックしていますし、自分で本が好きなのか本という形式が好きなのかはよくわからなくなってしまいました。


娘が大きくなった頃には、もしかしたら本という形式そのものも大きく変容しているかもしれませんが、いずれにせよそれも受け入れることになるでしょう。


愛があれば書き込みやシールやデバイスの違いも枝葉にすぎない、のかもしれません。

はなひ堂ブログ 2020年7月31日